社会悪の発生源 「コンビニ」 -6ページ目
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第3章. 「矛盾」の宝庫

「便利」の象徴とも言うべきコンビニにおいて、「省エネ」だとか「節約」などという言葉は実にミスマッチで、消費者に提供するサービス(便利)と、店舗運営実態を考えれば、

「矛盾の宝庫」といっても過言ではないでしょう。


つまり、コンビニがどれだけ「環境問題」を訴えたところで、消費者はもはやコンビニをそうした場所と認識することはできないでしょう。そして、そうした概念や状況を一般的にしてしまったのもコンビニ自体なのです。


コンビニエンスストアは新規オープンの瞬間から、業績不振等で廃業閉店するまで、店内すべての機器のスイッチがOFFなることはありません。明らかに夏場は売れないHOT缶コーヒーも温めています。冷房をつけている一方で、中華まんやおでんを一日中温めています。店内の明るさ、清潔さを競う為に、蛍光灯は切れていないうちから交換します。最近ではソーラーシステム導入店舗もあるようですが、批判の矛先を変えるねらいが見え見えです。

こんなに環境問題が叫ばれるようになってからでも、冷蔵庫は扉の無いオープンケースへの移行がどんどん進み、缶コーヒーを温めるウォーマーにさえ扉が無くなったのですから。言わばこれも、お客様が片手に買い物カゴを持ったときにでも商品が取りやすいようにという、便利の追求なのです。

そして、コンビニ利用者の多くは、便利な環境が当たり前になっている今日では、そんなささいな便利(変化)には全く気づいていないのです。

第2章 「ゴミ箱」にみる社会の変化

私の店は駅前通りにあります。店の前に置かれたゴミ箱は人々に、より一層の「便利」を提供しているようです。


出勤、あるいは登校の際、持ち歩くのに恥ずかしくない程度のビニール袋に家庭ゴミや不要品を入れ、家を出るのでしょう、

店の前を通るついでに実に手際よく、表情一つ変えず当たり前のようにポイポイとゴミ箱へ。ものの30分足らずで、ゴミ箱はほぼ満杯状態になります。昔の小売店時代にはありえない現象です。
 

国や自治体がゴミの処理方法や分別の仕方等を厳しく指導する一方で、コンビニのゴミ箱は、気楽に、極端に言えば無法的にゴミを捨てられる「便利な箱」になってしまっているのです。元来、店舗前や自動販売機横等に設置されているゴミ箱は、どんな理由で、またどんな目的で存在するのでしょうか?少なくとも現状のような利用のされ方を前提としてはいなかったはずです。しかし、いつの頃からかゴミ捨てにたいするモラルの低下に拍車をかける役割を、「コンビニ」は担ってしまっているように思えてなりません。

最近は公共の施設にはゴミ箱を設置していない所が増えています。高速道路のサービスエリアも家庭ゴミの持込に頭を抱えています。もし、そうしたゴミを捨てる人たちに少しでも罪悪感があるのなら、まだマシなのかも知れません。でも本当に怖いと思うのは、こうした行為が当たり前のように行われ、それを見て育つ子供たちは、それらを悪い事と認識する環境、機会が与えられずにいることです。

第1章 「便利」ならそれで良いですか?


あなたはコンビニエンスストアのヘビーユーザーですか?だとすれば、あなたもこの、便利すぎるくらい便利になった社会の「被害者」なのかもしれません。現代における、利便性のみを追求する世の中の流れの象徴とも言うべき「コンビニ」。いつの頃からか、それは人々の暮らしを便利にする一方で、社会悪の発生源と言っても過言でないほどの姿に変わりつつあります。かくいう私は、某コンビニ店のオーナーなのですが・・・。

社会的モラルの低下や、犯罪の低年齢化は、もしかしたらコンビニエンスストアの存在と密接に関わりがあるのではないか?そう感じざるを得ない事例が、私の身の回りにはたくさんあります。もちろん私自身が今現在コンビニ経営者である以上、そのスタイルやあり方を全否定するつもりはありませんが、「便利」が当たり前になった世の中において、そこに生活する人々の「意識」についてもっとよく考え、「教育」や「環境」面での配慮が必要なのではないかと強く思うのです。

現在のように、街にコンビニが溢れかえっていなかった時代を思い出してみてください。当初は朝7時から夜11時までというスタイルのコンビニがほとんどで、それでも人々は夜遅くまでお店が開いていることを、とても便利に感じていたと思います。
しかし店舗数が増えていくのにともない、その競争に勝ち残るため、しだいに24時間営業の店が主流になっていきました。そして現在では、コンビニといえば24時間営業が当たり前というのが社会通念になり、「年中いつでも好きなときに買い物ができる便利」を「便利」とは感じない状態になってしまっているのではないでしょうか?

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