第26章.サービスと利益率
サービスと利益率は比例する、という概念を、コンビニは見事に崩壊させてしまった。
元来、食品小売業の利益率は、様々な販売業分野の中で最も低いことは言うまでもありません。
それは、日常的に必要なものを販売しているのですから、当然と言えば当然なのです。
もともと、「年中無休24時間営業」、それ自体がサービス的要素の最も大きなものだった時代から、徐々にどのサービスも、コンビニでやるものはすべて当然の業務としての意味合いのものに変革してしまいました。
150円そこそこのカップラーメンに、お湯を入れ、箸をお付けする。ゴミは不道徳に捨て放題。
トイレは貸して当たり前。各種公共料金の支払い(金融機関のサービス業務の肩代わり)。
フランチャイズ本部の生き残り策として、様々なサービス合戦を展開してきたが、ここへ来てそれが誤りだったことに、徐々にではあるが気付きはじめてきているらしい。
それは、あまりにも消費者(コンビニ利用者)のみに、着眼しすぎた結果、今度はコンビニ経営者が不足してきていることにある。
つまり、サービス合戦を繰り広げるのは、あまりに安易な選択だったのです。冒頭にも述べたとおり、少ない利益でサービス業務ばかりを重視すればどうなるかと言うことです。その上、消費者は、それをサービス業務とは認識していない、という悪循環がうまれているのです。そんな商売、誰が好き好んでやりますか?
電車の中でこんな会話を立ち聞きしてしまいました。
「〇〇〇のコンビニは、お釣銭の札をキチンと裏表、上下揃えて渡してくれる。とても感じが良い。」
たかが食品小売業に、一体どこまで上級な、あるいは上質なサービス、接客を求めるのでしょうか?
その方が、一体どれくらいの金額のお買い物をなされたかは知りませんが、所詮コンビニでしょう。
高級レストランや、高級ホテルにでも行ったつもりなのでしょうか?
そうです!こうやって、社会の根本から勘違いさせてしまう作用、それがコンビニの存在です。