第5章 度を越した「消費者本位」 | 社会悪の発生源 「コンビニ」

第5章 度を越した「消費者本位」

今やコンビニは、ただモノを買うだけの場所ではなくなりました。

公共料金の支払いや、各種チケットの購入、ATMなど、消費者にとっては便利この上ないというか、これ以上身近な便利は無いと言って良いほどに様変わりしました。
コンビニ本部はこうしたサービスを通じて、来店客数を増やし売上を伸ばそうという考えなのでしょうが、実際にはサービスを利用する客数は増えても、売上のたいした変化もなく、各個店のデータをみれば、売上の下がっている店舗だってあるのです。

コンビニがなかった時代でも、商店街の個人商店や、街の小売店でも、売上不振でつぶれる所はつぶれ、閉店せざるを得ない状況に追い込まれる店はありました。立地条件や接客、販売方法その他様々な理由によるものと思われますが、その際、消費者に対して過剰なサービスをしても焼け石に水で、なんら抜本的な経営改善にならないことを個人経営者は知っていました。しかしコンビニ本部は、増えすぎて飽和状態になった店舗数、不景気による消費の低迷、これらの売上低下の要因を、サービス合戦によって回避しようとしているのです。


そんなサービス業務に限って、管理に手間もかかり精神面での負担も大きく、経営者泣かせのものが多いのです。

もちろん仕事ですから、客数が増え売上が上がり、利益が上がればそんな負担は我慢するべきなのですが、たいして売上自体に影響が無いとくれば加盟店は黙ってはいないでしょう。


新規開発物件があっても、加盟者が見つからず開店できないといったケースが増えているのもそうした事からでしょう。

現加盟者の中には、新たに店を経営したいと思うどころか、業種替えを考える経営者が意外と多いというのも、本部の度を越した「消費者本位」の運営の影響によるものなのです。

そしてこの経営改善のための、度を越した「消費者本位」のサービスが、とんでもない社会を作ってしまう引き金になっているとしたら・・・。